第6部:種子 – お茶の豊かで芳醇な香り
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▫️ お茶の香りの無数の層の中に、とても馴染み深く、温かく心地よい香りがあります。それは種子の香りです。緑豆やアーモンドのような、ナッツのような、脂っこい香り。時にはゴマや炒りゴマのような香りもします。これは、お茶が熱にさらされ、茶葉内部で反応が起こり「熟成」し始めると生まれる香りです。
▫️ 酵母を殺す – お茶に穀物のような香りが出始めたら
お茶は加工工程において発酵段階(熱間焙煎)を経ます。この時、熱の影響下で茶葉に含まれるアミノ酸、タンパク質、天然糖などの成分が反応し始め、種子のような脂っこく、わずかにナッツのような香りが生まれます。インゲン豆を焙煎したりゴマを炒ったりする時のように、適切な温度でメイラード反応が起こり始め、お茶の香りは「青臭い」香りから、自然で豊かな香りへと変化します。より丁寧に乾燥させたお茶の中には、ナッツのような香りがより強く感じられるものもあります。中には、若豆粥や焙煎インゲン豆のような後味を持つお茶もあります。
▫️ 春のお茶の季節 – 栄養素が自然な穀物の風味を生み出す
四季の中でも、春茶は最も美しい季節です。茶樹が冬の休眠を終え、新芽を出し始める時期です。この時期の茶葉には、寒い時期に蓄積された多くの栄養素、特にアミノ酸、L-テアニン、天然酵素が豊富に含まれています。そのため、春茶は、後味に深い甘みがあり、蒸したばかりの若い豆や若い米のナッツのような香りがほのかに漂います。トリ・ヴィエットでは、ウーロン・シュアンシリーズがこの香りの代表例です。適切に淹れると、若い白豆のような柔らかく甘く、ナッツのような香りが舌の上で軽やかに溶け、飲んだ後に心地よくリラックスした気分になります。
▫️ 後処理 – 「豊かな」味を保つための適切な精製
最終精製工程において、製茶者が茶葉を乾燥させすぎたり、古い茶葉を混ぜたりすると、この香りは消えてしまったり、乾燥したエグ味にかき消されてしまったりします。逆に、適切な温度管理と厳選された茶葉であれば、茶葉の中から「淹れた」かのような、澄んだ柔らかな、自然な香りが生まれます。
▫️ ナッツのような香りの一杯のお茶 ― 単なる香りではなく、土壌、春の空気、そして茶葉を淹れる人の繊細な手仕事が織りなす、まさに至高の香り。お茶を飲んで「若くて芳醇な豆の香り」と感じたことがあるなら、おめでとうございます。あなたはまさに、お茶の最も美しい魂の一つに触れたのです。
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